和牛の匠たちがしのぎを削るコンテスト「共進会・共励会」とは?

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スポーツの祭典「オリンピック」や、音楽の「グラミー賞」など、各分野でその道のトップを選ぶさまざまな賞がありますよね。

牛にもそういったコンテストがあるのをご存知でしょうか?今回は国内で代表的な2つのコンテスト「共進会」「共励会」を紹介します。

全国で開催される生産者たちがしのぎを削る牛肉の大会


実は日本全国でさまざまなブランド牛や団体、地域などが主催するコンテストが開催されています。愛情をかけて育てた牛がこれらの名誉ある賞を獲得すべく、生産者はアスリートのように日々の努力の積み重ねによって肉質を磨き、そのおかげで、日本では品質の高いお肉を生産することができるんですね。

そのなかでもよく耳にする「共進会(きょうしんかい)」と「共励会(きょうれいかい)」について解説していきます。

5年に一度開催される和牛のオリンピック「全共」とは?


全共の正式名称は「全国和牛能力共進会(ぜんこくわぎゅうのうりょくきょうしんかい)」。公益社団法人全国和牛登録協会の主催によって5年に一度開催される和牛(黒毛和種牛)の品評会です。

共進会の概要

全国和牛登録協会は、戦後間もない1948年、日本農業のなかで和牛が家畜として国内に拡がりつつあった頃、全国一律の登録制度を設け、和牛の品種改良を効率よく進めることを目的として設立されました。

今では全国各地でさまざまな共進会が開催されています。

※ちなみに乳牛の世界にも共進会があります。

高校生の部もあります なかでも有名な共進会が、この「全国和牛能力共進会」です。この日に向けて各地の生産者は品種や飼料、飼育環境などの見直しを行い、自慢の一頭を選出。全国から約500頭の牛が開催地に集結します。

ここで賞を獲得した牛は高値で取引され、一流の生産者の仲間入りとなるわけです。


ちなみにこの祭典は一般の方にも開放され、2022年の鹿児島大会では30万人以上が来場されで、品評会の様子を観覧できたり、日本全国の和牛を使った食事を食べられたりする人気のイベントでもあります。

第13回大会は2027年に北海道で開催されますので、要チェックです。

共進会の審査のポイント

共進会では、牛の品種改良の成果を競う「種牛の部」と、牛肉の肉質を競う「肉牛の部」で、それぞれ厳正な審査標準をもとに審査が行われます。

■種牛の部

「種牛の部」の審査で重要なのは発育の良さ。肩から胸までの長さや、胴の長さ、幅などを見比べ、全体のなかで肉になる部分の体積が大きい牛が評価されます。しかし、単純に大きいほど良いわけではなく、月齢に応じた平均的な発育曲線から著しく外れた大きさだと、評価は下がってしまいます。

■肉牛の部

肉質審査のイメージ 「肉牛の部」では、枝肉(頭部や内蔵、皮などを取り除いた牛肉のこと)の状態で審査され、肉量や肉質、脂肪交雑(サシ・霜降り)の質など、市場取引で重視される項目が審査対象になります。その際、脂肪交雑については、脂肪に含まれる旨味成分であるオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸の量も審査項目に含まれており「サシが多い肉」ではなく「サシが美味しい肉」が選ばれるのです。

肉牛枝肉共励会とは?

共進会と並ぶ二大大会として、共励会があります。共励会は共に励む会と書いて「きょうれいかい」と読みます。

共励会の概要

肉質審査のイメージ 共励会の正式名称は「肉牛枝肉共励会」。肉牛生産者の飼育管理技術向上と有益な情報交換の機会を提供することを目的としています。

共励会は共進会同様に、各ブランド牛や全国の団体によって開かれている場合もありますが、最大規模で行われるのが「全国肉用牛枝肉共励会」。すべてのブランド牛が対象で、全国から選りすぐりの牛肉が一堂に会します。

共励会の審査のポイント

共励会では、枝肉の状態で「牛枝肉取引規格」に基づいて審査され、枝肉全体の重量や、胸の最長筋面積、ばらの厚さ、皮下脂肪の厚さといった項目で採点されます。

肉の美味しさを追求する生産者のこだわり

厳正な審査により共進会や共励会での入賞は、生産者にとってこれまでの努力が実を結ぶ瞬間です。

「松坂牛」や「神戸牛」など、ブランドが注目されがちではありますが、ブランドの枠を超えた各生産者のこだわりがあるのです。

2022全共で1位を獲得した髙梨牧場の髙梨さん

千葉県の和牛肥育農家である髙梨裕市さんは、共進会や全国肉用牛枝肉共励会での入賞、農林水産大臣賞を7度受賞するなど、数々の受賞歴をもつ生産者の一人。牧場の息子として生まれ、大学の法学部を卒業し、大学院に進んでから28歳で就農。学術的側面からも肥育技術を学び、徹底した品質管理で美味しい和牛づくりを追求しています。

そのほか他にも、強豪ひしめく鹿児島において数々の名だたる賞を受賞しているマザービーフの「平松畜産」や、北さつま高崎牛の「高崎畜産」、さつま福永牛の「福永畜産」など、

チクタグではそんな髙梨牧場の和牛をはじめ、さまざまな受賞歴をもつ知る人ぞ知る生産者のこだわりの商品を取り揃えています。

お墨付きのその味を、ぜひ一度その舌で確かめてみてください。